ポリ画報通信

「ポリ画報」の活動、関連情報、ノート

みたもの・きいたもの

5月メモ

ハロー・ワールド 展 (水戸芸術館) 説明的に思える作品が多い。 あるいは、どういう作品か説明がついてしまうような作品。 (本展の)アーティストは分かっている立場だ。 そうでなくてもよいはず。徴候的なもの、それじたいが徴候であるような事物や事象…

4月メモ

ルドン展(三菱一号館美術館) 幻視というのは自分の中の想像や夢想が自分の外に見えるということだろうか。幻覚はおそらくもっと受動的で、視覚的空想力のはたらきの度合いの違いがあるのだろう。壁画に描かれたひな菊など見ていると、サイケデリックという…

3月メモ

あなんじゅぱすライブ、ゲスト藤井貞和、ネイキッドロフト 藤井さんが、自分が書いているのは「現代詩」だと話していたのが印象的だった。短歌のように続いているかたちがあるものではなく、いつ書けなくなるか分からない、いつでも書けなくなりうるものとし…

2月メモ

世界に対する知と信 TALION GALLERY 駒込倉庫 正面切ったタイトルでやや一般論的な感じもするけれどストレートだ。 例えば、高柳恵里さんの作品に、紙や毛布や小さな電卓や空き缶が、いっけんただ置いてあるように見え、よく見るとそれらが底面の細工によっ…

勉強会その後

7月22日に第4回(発表川原さん)、8月26日に第5回(発表辻さん)の勉強会を行ないました。第4回では、Ⅵ章「三位一体」が取り上げられ、事前にていねいな要約とリンクが付いたレジュメがありました。発表はなかでも記憶術が着目されていました。時間や空間を…

『残像』ほか

先日、アンジェイ・ワイダ監督の遺作『残像』を観ました(岩波ホール)。主人公の芸術家は、国のイデオロギー的な統制が芸術にも及んできたことに抵抗し、そのために社会的な権利を奪われて、困窮のうちに病死します。救いのない話だったといえると思います…

筑波大学〈総合造形〉展

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 筑波大学〈総合造形〉展 2016.11.3 – 2017.1.29 茨城県近代美術館 「総合造形」は、筑波大芸術系の専攻領域がいくつもあるなかの一つです。どうしてそこだけの展覧会が企画されたのか分かりませんが、本展は…

講演会「ことばと出会う」   MATTERS OF ACT 創刊イベント

講演会やトークイベントをきっかけに自分で思ったことなど書きたいと思います。 ことばと出会う ぱくきょんみ講演会 2016.12.17 國學院大學 これは國學院大學文学部の講演会で、《多言語・多文化の交流と共生》プロジェクトだそうです。お話しは、ぱくさんが…

晩秋のカバレット2016 心にビート2016秋

声・言葉・音楽のパフォーマンスについて、最近みたものの感想など書きたいと思います。 晩秋のカバレット2016 絵師 葛飾北斎 多和田葉子、高瀬アキ 2016.11.16 シアターX (カイ) 多和田さんが自作の詩のような散文のようなテクストをよみ、高瀬さんがピアノ…

岡﨑乾二郎個展

最近みた展覧会の感想など書きたいと思います。 岡﨑乾二郎個展 2016.11.10 -12.11 Takuro Someya Contemporary Art 岡﨑さんの作品は作品名(タイトル)と作品の関係に特徴があると思います。タイトルの言葉は作品の名ですが、その言葉自体もその作品である…

展覧会を終えて。

展覧会(ポリ画報vol.4)は、冊子(vol.1~3)より、メンバー個人の志向性があらわれていたと思います。新たなことをできたともいえます。次の展開につながるかもしれません。展覧会場にvol.1~3をおいていたので、会期中に自分でも見直しました。不条理なイ…

かぼちゃの気持ち 「POST/UMUM = OCT/OPUS」

1.あらまし 先月末、宮城にある風の沢ミュージアムというところに行ってきた。おかざき乾じろさんの展示を見て、ワークショップに参加するためだ。概要については原さんが詳しく書いてくれているPOST/UMUM=OCT/OPUS 展 - ポリ画報通信ので、私はもうちょっと…

POST/UMUM=OCT/OPUS 展

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 POST/UMUM = OCT/OPUS 展 おかざき乾じろ 2016.4.24-10.23 風の沢ミュージアム 風の沢ミュージアムは、岩手県北西部の栗原市にあります。7月23日・24日に、おかざき乾じろさんのワークショップ(実際にはレ…

『ピンク・ジェリー・ビーンズ』

ピンク・ジェリー・ビーンズ 作・演出・出演:川原卓也、関真奈美 2016年6月11日(土)-19日(日) TABULAE あらすじ 〈1〉 死体である川原さんの周りをうろうろしながら、関さんが何かを解説しています。 まず、自分の仕事について。インテリア・コーディ…

『神様メール』

あらすじ 神は−−−−地球上のいかなる教義とも異なって−−−−ブリュッセルに住んでいる。大小さまざまな法則を生み出して人々に災厄を与えるばかりか、自宅アパートに家族を軟禁し、言動を制限して暴力を振るう最低のクソ親父だ。家出したきり戻らない兄のキリス…

セルフリファレンス・リフレクソロジー

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 Self-Reference Reflexology セルフリファレンス・リフレクソロジー 2016.5.13-6.5(金・土・日のみ) milkyeast 梶原あずみ、坂川弘太、篠崎英介、高嶋晋一+中川周、瀧口博昭、西浜琢磨、松本直樹、宮崎直…

外島貴幸「背中を盗むおなか」

コント、パフォーマンス、ジェンダーチェイシング 外島貴幸「背中を盗むおなか」 2016年5月14日(土) blanClass http://blanclass.com/japanese/archives/20160514/ 1. 外島さんの携わる作品は常にそういう性質を持っていますが、「背中を盗むおなか」も、…

共にいることの可能性、その試み

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 共にいることの可能性、その試み 2016.2.20-5.15 水戸芸術館現代美術ギャラリー 田中功起 このプロジェクトは、一般性がある大きなテーマをストレートに考えてやってみたものという感じがします。しかし、そ…

「描かれた夢解釈」展

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 描かれた夢解釈 ― 醒めて見るゆめ / 眠って見るうつつ 2016.3.19-6.12 国立西洋美術館版画素描展示室 ポリ画報vol.3は「transdreaming」というタイトルですが、dream(夢)でなくdreaming(夢みること)が問…

石川卓磨個展「教えと伝わり」 MOTアニュアル2016 キセイノセイキ

展覧会をみて思ったことなど書きたいと思います。 教えと伝わり 2016.4.2-5.1 TALION GALLERY 石川卓磨 教えと伝わりという問題設定、とりわけ伝わりということのひき出し方が興味深く思えました。「伝わり」という名詞形のいい方は、非人称的で、送り手と受…

Post Studium シンポジウム - デウス・エクス・マキナ、あるいは2040年の夢落ち

シンポジウムをきいて思ったことなど書きたいと思います。 Post Studium シンポジウム –デウス・エクス・マキナ、あるいは2040年の夢落ち 2015.3.27 本多公民館(国分寺市) 宇川直宏、藤幡正樹、岡﨑乾二郎 このシンポジウムは一般観客に開かれた企画でした…

「E!x:創造する相同」展、テアトロコントvol.5

展覧会や舞台をみて思ったことなど書きたいと思います。 「E!x :創造する相同」展 2016.2.19-21、2.26-28 Nefrock Lab Ookayama 田中彰、村山悟郎、矢木奏 本展は、エウレカ・プロジェクトのウェブマガジン『E!』8号連動企画として開催されました。 村山…

夕方帰宅してみると、名絵画探偵亜目村ケン 

展覧会などみにいって思ったことを書きたいと思います。 夕方帰宅してみると 2016.1.16-2.7 milkyeast Sabbatical Company (杉浦藍、益永梢子、箕輪亜希子、渡辺泰子) 会場で、カフカの作品『夕方帰宅してみると』を読めるようになっています。それは、独…

オノ・ヨーコ「私の窓から」

展覧会全体 現代美術館での個展は二度目。すでに前回が代表作を集めた大規模な個展だったので、いったいどうしたらこれだけの空間を使った展示が再び成立するのだろうと不思議に思っていましたが、作家の出身地東京との繋がりをキーワードに資料的な要素を前…

ロベール・ブレッソン「田舎司祭の日記」

あらすじ 新米司祭が赴任地の人間関係でぎくしゃくし、ウジウジする話。ということになるでしょう。描かれたものだけを見るならば。 幾度か住人らが司祭に悪意を持っているらしいということが語られますが、理由ははっきりせず、また何度かきな臭い出来事が…

オノ・ヨーコ 私の窓から 、 NEW YEAR MUSIC,MONKEY MUSIC!!

展覧会やイベントへ行って思ったことなど書きたいと思います。 オノ・ヨーコ 私の窓から 東京都現代美術館 2015.11.8-2016.2.14 『グレープフルーツ』のようなインストラクションのアートを見直したいと思い、本展に行ったのですが、この人の全体を見直すこ…

ロベール・ブレッソン「ラルジャン」(2)

(1からの続きです。) 演出と主題の関係 「罪の天使たち」から同様のテーマが引き継がれているとして、「ラルジャン」で明確になったのは以下の四点でした。 イヴォンやアンヌ=マリーははじめから不可解な行動をとっていたわけではない。映画は特殊な状況…

ロベール・ブレッソン「ラルジャン」(1)

あらすじ…見えない全貌 ラルジャン、そのものずばり「お金」を指す言葉だそうです。偽札を巡る人々の小さな利己心と、出来心の偽証が連鎖して、平凡な市民イヴォンはたちまち罪人へと転落していきます。人々は自らの手を渡った偽札がどのような不幸を引き起…

深沢夏衣文学を語る会、社会の芸術フォーラム展、遠藤麻衣公演

イベントや展覧会へ行って思ったことなど書きたいと思います。 深沢夏衣文学を語る会 2015.12.5 法政大学市ヶ谷キャンパス55年館561教室 川村湊、高柳俊男、小林孝吉、ぱくきょんみ、(司会)高二三 『深沢夏衣作品集』(新幹社)刊行を機に、このシンポジウ…

ロベール・ブレッソン「罪の天使たち」

あらすじ 裕福な家庭に育ったアンヌ・マリーは、不幸な人々に寄り添いたいという願いから、元服役囚の身元を引き受けている女子修道院にやってきました。理想に燃えるアンヌは、獄中でも最大の問題児として疎んじられていたテレーズに心を寄せ、端から見ても…