ポリ画報通信

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展示と童話


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個展はじまりました。

展示について子供たちに説明する機会があったので、急遽短いお話を作ってみました。



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昔々、世界一難しいなぞなぞに挑戦しているAくんという人がいました。

毎日一生懸命考えて、何年も何十年もたったある日、ついになぞなぞが解けました。

Aくんは答えがわかったことを喜んでみんなに伝えて回りましたが、なにしろ世界一難しいなぞなぞなので、ほんとうにそれが正解なのか、誰にもわからないのです。お父さんに聞いても、お母さんに聞いても、おじいちゃんにもおばあちゃんにも学校の先生にも学者さんにも、町長さんにも大臣にも、王様にだってわかりません。

はじめは首をかしげるばかりだった回りの人たちも、誰にもわからないことをわかったと言い張るAくんを指差して、ばかにするようになりました。


「誰にもわかってもらえない。」


悲しくなったAくんは、何かを作りはじめます。なぞなぞの答えを新しいなぞなぞにして、遠い未来、ずっと後の人に解いてもらうことにしたのです。


そして百年も千年もたって、もちろんAくんもAくんの家族も友達も、みんな死んでしまって、Aくんがいったいどんな人だったか、もう誰にもわからなくなったころ、Aくんの作ったなぞなぞは、「さくひん」と呼ばれるようになっていました。


私はAくんの作ったなぞなぞが世界を変えると信じていますが、なにしろなかなかわかってもらえないので、なぞなぞにすることにしました。誰か解いてくれると、うれしいです。


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Aくんの「さくひん」が「長歌」、そして今回はそれに対する「反歌」という具合です。


佐々木(ツカ)つばさ