ポリ画報通信

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ピョトル・ボサツキ「自明の物事」(第8回恵比寿映像祭 動いている庭)

 白を基調とする画面にボルトやピンチや紐やグルーガンといった、比較的身近な道具を使ったコマ撮りアニメーションが展開される。ナレーションは作家本人。2013年作、10分。 

 

 作家のトークを聞くことができた。展示されてはいない過去作を合わせて特徴を抽出するなら、「定められた領域でルールに従って変容する内部と、移動する領域の外枠」ということになるだろう。外枠と内側の特徴は、それぞれこんなところだろうか。

  1. 外枠の移動(変容)はある視点からは観測できない。
  2. 内部の変容(移動)はある地点で知覚可能な意味を形成する(が、それを受け取れるかどうかは観る者の力量に委ねられている)

 

 ナレーションはオリジナルの文章で、執筆に半年を要したという。曰く、「どのような状況にも当てはまる」「〈どのような立場から〉〈何のために〉書いたかがわからない」内容で、「いかなる政治的連想をも伴わない」普遍性を志向したものだそうだ。彼のこの言葉に偽りがないとして、私にはむしろ論理的な純粋性を志向したテクストであるがゆえに、政治的未解決問題に直結してしまったように思えた。しかし仮にそうであっても、それは決して居心地の悪いものではない。論理的矛盾があるからこそ政治的課題が生じるのであって、その逆ではないからだ。

 

20日(土)までです。珍しくレビューが間に合った。

(佐々木つばさ)

 

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