ポリ画報通信

「ポリ画報」の活動、関連情報、ノート

2月メモ

世界に対する知と信 TALION GALLERY 駒込倉庫

 正面切ったタイトルでやや一般論的な感じもするけれどストレートだ。

 例えば、高柳恵里さんの作品に、紙や毛布や小さな電卓や空き缶が、いっけんただ置いてあるように見え、よく見るとそれらが底面の細工によって少しだけ浮かせてあることが分かる、というものがあった。それらを、目立たないがちょっと浮いている物として見ていると、周りから切り離されたあるいは独立した、単独の物としての在り様に見えてくる。そしてそれは、本当はそうではないのだ。

 そういういわば宙吊り状態にすること、それが答えなのか?

予兆 名絵画探偵3 blanClass  第10回恵比寿映像祭 東京都写真美術館ほか

 Whales+けのび、協働作だが、それぞれがそれぞれのまま重ねられたような感じだった。出演者の一人は、“起きていることを見られないでいるのを話す”という一種のインストラクションを実演する。名絵画探偵は、『Clairvoyance(透視)』という絵について語ったりする。今年の恵比寿映像祭のテーマは「インヴィジブル」だが、意外とテーマが近いのではないかという気もした。「インヴィジブル」は、見ることに対する知と信、といえる問題だったかもしれない。『予兆 名絵画探偵3』は、見ることは言葉にすることだ、というテーゼのようなものを考えさせる。意識しなくても言葉にしている、ということ。

絵画の現在 府中市美術館

 イメージを描いた作品が多いなかで、諏訪未知さんと白井美穂さんは違って、大まかにいえば考えを描いている。考えの説明というより考えの実践あるいは考えの具体化であろうとするのだと思う。それは言葉によらないプロセスといえるだろうか?

 ネアンデルタール人が描いたという絵が発見されたそうで、その映像を見た。ネアンデルタール人には言語がなかったとされている。あの絵は、何かのイメージなのか何かのしるしなのか、模様みたいなものなのか、何なのだろう。

 

(原牧生)