抽象力で把握する
空間の潜勢力=坂田一男を通して考える、抽象の力 (馬喰町ART+EAT)
岡﨑乾二郎、成相肇
東京ステーションギャラリーで「坂田一男展」を準備中ということで、それに先立つトークイベントがひらかれた。展覧会は、個人の回顧展にとどまるものではないようだ。ト-クでは、主に岡﨑さんが話し、坂田一男の画業を検討するために、レジェ、ピカビア、コルビジェ、モランディなどの作品が参照され、共有されていた問題が考察された。それを考えるために、岸田劉生、坂本繁二郎、セザンヌ、マティスなどの作品も参照された。また、その問題の観点から、リチャード・ディーベンコーン、ジャスパー・ジョーンズらの作品を見直すということも試みられた。
M.シャピロのセザンヌの林檎論、梶井基次郎『檸檬』。林檎や檸檬はどのような物として描(書)かれたか。
洪水のような経験、ばらばらな感覚、非同一性の時間空間、その把握、それを描くこと、見えているものだけでないという感覚、時間空間を切り裂く・異なる時間空間が重ね合わされるという爆発。
抽象という言葉の意味あるいは概念を考え直させる。普通の意味で具象でも抽象性がある場合も。象徴と抽象の関係、具体と抽象の関係など。
認識の配置変えの提起力によって美術史的な専門性を超えている議論。
(原牧生)