ポリ画報通信

「ポリ画報」の活動、関連情報、ノート

2019-01-01から1年間の記事一覧

12月(詩の機会)

Fushigi N°5 の大追跡 ( Café&Bar Kichi ) 橘上、永澤康太 詩を読むことは詩を経験することになるが、必ずしもそうなるとは限らない。詩を経験するとは、詩の機会に恵まれるというようなことなのだろう。 今回このユニットは二人で、何をやるかを決めたう…

11月(作品にしない倫理)

DECODE/出来事と記録 – ポスト工業化社会の美術 (埼玉県立近代美術館) やろうとしたことがいろいろあって、詰め込まれた企画だ。 ・作家関根伸夫の、もの派だけでない文脈を示す。 ・実物が残っていない作品を、記録や資料によって展示する。 そのために、…

10月(文脈を再編成する)

岸田劉生展 (東京ステーションギャラリー) 岸田劉生の絵は昔からスタンダードに見ることがあったが、以前の印象は何だか暗い感じで、どこがいいのかつかみかねていた。天才を理解できるのは天才だけだという意味のことをガートルード・スタインが書いてい…

9月(現実に関わるとは)

坂本繁二郎展 (練馬区立美術館) 一貫したことをやっている感じが心に残る。作家は1882年生まれ、1969年に亡くなっているが、戦争中でも戦後でも、やっていることにブレが感じられない。若い頃すでに洋画も日本画も何でも描ける技量があった。そのうえで、…

8月(文化とお金)

8月11日から21日にかけて、トゥバへのツアーに参加した。トゥバ共和国はロシア連邦の中の共和国の一つで、大まかにいえばモンゴルの北側にある。このツアーは、音楽家の巻上公一さんが行なっている。巻上さんは90年代からトゥバとの交流を続けている。そのた…

7月(身体・言語・分裂)

Becoming in the City Performance Project パブリックスペースと劇場を結ぶ、都市縦断型パフォーマンス (渋谷ハチ公前、警察署前歩道橋、森下Sスタジオ) 振付・テキスト 山崎広太 コラボレーション・パフォーマー 穴山香菜、とだかほ、中林香波、松尾望、…

抽象力で把握する

空間の潜勢力=坂田一男を通して考える、抽象の力 (馬喰町ART+EAT) 岡﨑乾二郎、成相肇 東京ステーションギャラリーで「坂田一男展」を準備中ということで、それに先立つトークイベントがひらかれた。展覧会は、個人の回顧展にとどまるものではないようだ…

5月(手段の開発)

空間を編む (TABULAE) 鈴木なつき たとえていえば型紙を切り抜いて三次元空間に立てたようなつくり。切り抜かれた空間と切り抜いた空間が互いに写像し合って自律しているように見える。タブラエという場所のかたちが所与の条件で、条件に従って空間をいわ…

4月(即興と詩)

Fushigi N°5第三回公演 (ALOHA LOCO CAFE)向坂くじら、橘上、永澤康太 何かについての言葉であるよりも、それがその何かであるような言葉、そういうものが詩だと考えたい。詩の形式で書かれた言葉であるよりも、パフォーマティブな言語行為、言葉の出来事…

3月(理論という他者性)

DOMANI・明日展 (国立新美術館) 村山悟郎さんの作品は、いわば画布の生地を織る(編む)ことから、つまり絵画の支持体を作ることから始められている。細長くとがった先が始点なのだろう。支持体の構造に理論が関わり、その作り方(手法)を実行するプロセ…

2月(受け手の経験をつくるとは)

マクドナルド放送大学 (MISA SHIN GALLERY) 高山明(PortB) 高山さん・PortBは、みる側の経験として演劇をとらえたことによって、やる側とみる側という一方向のパタンから転回したと思える。演者が演じることをつくるより、観客の経験(行動や認識など)…

1月(言葉とパフォーマンス)

私の頭の中のメディウム・スペシフィティ (blanClass) 川原卓也(パフォーマンス) 藤枝静男の小説『田紳有楽』をテキストとして用い、一部朗読もしている。物が物を演じるという意味として絵具を塗って、川原さんの肉体がメディウムになっている感じがし…